日々、ネットや書籍で投資や家計の情報を気にしています。
そこから流行りや傾向を調べるのが好きなのですが、最近目に付くようになってきたのが変額保険です。
「保険」と名が付くからには保険商品なんでしょうか?
さっそく、詳しく調べてみました!
【目次(もくじ)】
- 変額保険とは?
- 変動保険の種類は?
|-変動保険その1 終身型
|-変動保険その2 養老型
|-変動保険その3 年金型 - 保険金の額が変動するってどういうこと?
- 保険金は保障されないの?
- 変額保険の運用はどのようにされる?
- なぜ今、変額保険なのか?
- 変額保険は「長期的」「資産分散」「時間分散」がポイント
- 変額保険、ここに注意!
|-1.「保険だけ」「投資だけ」を目的にしてはいけない
|-2.手数料が高額な傾向である
|-3.保険屋の「長期だからリスクが減る」「時間分散だから儲かる」は危険 - まとめ
変額保険とは?
生命保険や死亡保険などを取り扱っている、いわゆる保険屋が売っている商品のひとつです。
一般的な保険と言えば、毎月定額を保険料として支払い、病気やケガをしたとき、もしくは死亡したときなどに、保険金として払い戻しされる仕組みですね。
この保険金は最初からいくらと決まっています。
対して、毎月定額の保険料を支払い、保険屋がその保険料の一部を元手にして、投資運用を行っていき、保険金として払い戻しされるときの状況によって、保険金の額が変動するような保険を変額保険といいます。
変動保険の種類は?
各保険屋によって取扱い商品はそれぞれですが、変動保険のタイプは3つあります。
- 終身型
- 養老型
- 年金型
変動保険その1 終身型
保険料の払込期間が終わっても、保険期間は終身というものです。
つまり、ある年齢まで保険金を支払い続けると、保険料の支払期間が終了していても、死んだ時に保険金が戻ってくるタイプです。
変動保険その2 養老型
保険料の払込期間が満了した際に、満期保険金が戻ってくるものです。
つまり、保険金の支払いのゴール時に、完走賞がもらえるものです。保険料の支払い途中で死んでしまった等のことがあれば、それまでに保険料を支払った年月に比例した額の保険金が戻ってきます。
変動保険その3 年金型
保険料の払込期間が終了した後、決まった年数の間、個人年金として保険料が戻ってくるものです。
例えば、60歳から10年間、毎年100万円をもらえるという保険があります。
その場合は、保険料は60歳まで払い続けることになります。死亡等した場合は、保険金が戻ってきますし、それが保険料の払込期間途中であれば、加入年月に比例した保険金が戻ってきます。
保険金の額が変動するってどういうこと?
わたしたちが支払った保険料の一部を元手として、保険屋が投資運用をするのが変動保険です。
投資運用先といえば、株や国債などです。
ご存知のように、株価や国債価値は日々・分刻みで上がったり下がったりと激しい動きをしています。
通常の株などの投資といえば、安い時に株を買って、その株価が上がったときに高く売ることで、その差額が利益として得ることができます。
変額保険の場合、保障が必要になった時期や途中で解約をした時期が国際情勢が不安定で、世界中で経済が混乱しているような場合だと、投資をしていたものも下落してしまうと考えられます。
そうすると、運用実績に応じた額の保険金しか戻ってこないので、一般的な定額保険で1000万円もらえていたものが、それよりも下回る額しか戻ってこない可能性もありますし、それまで支払っていた保険料を下回るものしか戻ってこない場合もあります。
逆に、経済や世界情勢によっては好景気であれば、一般的な定額保険で1000万円もらえていたものが、それよりも上回り1000万円以上の保険料が戻ってくる可能性もあるということです。
保険金は保障されないの?
そんな一か八かの保険には入れない!と思った方。少し補足があります。
変額保険は、資産運用実績に応じた額の保険金が戻ってくるといいましたが、死亡保険金と高度障害保険金に関しては、最低保障があり、基本保険金額は戻ってくることになっています。
変額保険の運用はどのようにされる?
変額保険で支払った保険料がそのまま資産運用に回されるのではありません。
保険料から投資手数料、保険業務手数料などを差し引いて残った金額が、運用資金となります。ここは誤解しやすいところです。
保険商品の比較検討をするときには、この手数料がいくら引かれるのかを比べると分かりやすいですよ。
保険料として支払ったものの一部を元手金とし、「特別勘定」と呼ばれる対象の金融商品を用いて運用していきます。
特別勘定には8つの種類があります。
- 株式型
- 日本成長株式型
- 世界コア株式型
- 世界株式型
- 債券型
- 世界債券型
- 総合型
- 短期金融市場型
これらはそれぞれ特徴があり、また長所短所がそれぞれにあります。
変額保険では、これらの商品を組み合わせて、資産運用をおこなっていく方法を取ります。
今までは、この組み合わせは、保険加入者自身がチョイスして決めなくてはいけませんでしたので、投資初心者にはあまり向いていませんでした。
しかし、最近では、保険加入者のライフプランや目標に合わせて、勝手に金融商品を組み合わせてくれる商品も出てきました。
なぜ今、変額保険なのか?
変額保険そのものは今に始まった商品ではありません。
昭和61年のバブル期に入ろうとした頃に変額保険は誕生しました。
イケイケムード満載、好景気に後押しをされる形で、ハイリスク・ハイリターンな変額保険は大人気商品になったといいます。
従来どおりの定額保険であれば、安定した保険金の確保が見込めるのに、「もっと」欲が高まったのでしょうね。今ならイケる、と。
バブル経済崩壊後は、ご存知の通り、安定・確実・堅実な生活を余儀なくされました。
そして、近年は年金制度の崩壊が懸念されたり、経済の不安から、もっと財布の紐が固くなりました。
銀行の預金金利は過去最低を叩き出し、銀行に預けるよりも自分たちで管理しようとする動きになりました。
それから、またひとつ時代が変わった印象を受けます。
「貯めるより、殖(ふ)やす」時代の到来。
貯め込んでも、それ以上のリターン(利子)は見込めない。でも、老後の3000万円を貯める力もない。今を生活するのに必死。
そんな閉塞感を打破するために、投資や資産運用が注目されるようになってきています。
もちろんそれまでの投資の歴史は長いですが、イメージでは男性、その中でも資産を持っている富裕層が中心にするものでした。
それが最近では、一般家庭でも、サラリーマンでも、OLでも、主婦でも、学生でも、投資の門戸がとても広く開かれた印象です。
投資が身近になり、少しづつ一般人の投資に対するリテラシーも上がってきているのが昨今の状況でしょう。
少しでも殖えるのであれば、投資を積極的に行う。そんな時勢を感じて、再び変額保険が息を吹き返したのです。
変額保険は「長期的」「資産分散」「時間分散」がポイント
バブル崩壊後、日本の経済は停滞を極めています。
時々、偉い人が「景気は右肩上がりだ」なんてことを言っていますが、一般レベルの生活ではそんな様子は微塵も感じません。
それでは、イケイケドンドンだったバブル期に流行った変額保険が、またじわじわ来ているのでしょう。
変額保険は医療保険とは違い、老後まで長く契約をすることが前提です。長く保険料を払う=長く投資を行うということです。
ジェットコースターのような激しい上がり下がりの中で、売り買いも激しく行うような投資だと、大きな儲けを狙うことができます。
しかし一般人では知識も資本も時間も足りません。
そういった、投資初心者でも手堅くわずかな儲けを期待できるのが、長期的な投資による資産運用なのです。
日本も現在、国を挙げてこの長期的な資産運用を勧めています。
長期的な投資はリスクを軽減すると言われています。
日本では「人生百年時代」ともいわれています。怖いですよね・・・。
ということは、今からでも長期的な投資をすることができるということです。
また、ハイリスク・ハイリターンではなく、手堅く資産を増やすのであれば、資産を分散することも必要です。
これは分かりやすく競馬にすると、ここまで連勝負け無しの馬に手持ちの資産を全額賭けるのか、じわじわ勝率を伸ばしてきている馬にも少し賭けておくか、手堅く3連単ボックスにするか、ということですね。
・・・分かりませんか?
資産を1点集中させるのではなく、分散させておくことで、あっちがダメでもこっちでカバーをさせ、リスクを軽減するということです。
変額保険の場合、加入者の希望に応じて、上に挙げた8つの特別勘定から数個を組み合わせて投資をすることで、分散をさせることができます。
そして、最近投資初心者の世界で浸透しているのが時間分散。
買い付けのタイミングを一時に集中させるのではなく、分散させるやり方です。
毎月1万円を投資していくとして、その中でめちゃくちゃ高値の時は投資商品は少数しか買えません。
しかし、めちゃくちゃ安値になった時にはこれでもかというほど買えます。
これを繰り返すことで、平均すると買い付け金額が比較的低コストで済むというわけで、資金があまりない一般人でも投資運用ができるというわけです。
この「長期的」「資産分散」「時間分散」の点において、変額保険はぴったりなのではないかというのです。
変額保険、ここに注意!
1.「保険だけ」「投資だけ」を目的にしてはいけない
保険特有の「保障」を目的にして変額保険に加入するのは一考してください。
なぜなら、基本保険金満額や、支払った保険料を下回って戻ってくる可能性もあるからです。
自分が死んだ時に、きちんと残したい場合は定額保険で十分でしょう。
定額保険に入った上で、少しでも+αが付く可能性に賭けようと思うのであれば、変額保険も一考の価値があるかと思います。
また、投資だけの目的で変額保険に加入するのも危険です。それであれば、純粋に保険会社を通さずに投資信託をする方がいいでしょう。
2.手数料が高額な傾向である
なぜ、投資目的での変額保険の加入は危険なのでしょうか。
それは、「なぜ保険屋が投資を持ちかけるのか」ということです。
言い換えれば「どうやって保険屋は変額保険で儲けるのか」ということですね。
保険料から、死亡保障などの経費、さらには投資運用経費が引かれます。
この諸経費が引かれて残ったもので投資運用を行うのです。例えば2万円の保険料から諸経費が引かれて15000円で投資運用を行うのと、毎月2万円をそのまま投資信託に回すのとでは違うのは、よく分かりますよね。
ただし、一般的な投資信託でも手数料は多々かかってきますので、その点も誤解無きよう。
今こぞって変額保険を勧められている時期ですが、この戻ってくる「返戻率」をきちんと把握しておかないといけません。
3.保険屋の「長期だからリスクが減る」「時間分散だから儲かる」は危険
変額保険を売っていこうとしている保険屋のウリ文句は
「長期運用でリスクが減る」
「時間分散(ドル・コスト平均法)で儲ける」
です。
少し疑ってかかりましょう。
長期運用でリスクが本当に減るのか。例えば、一度大きな不景気ショックがあったとしましょう。
この時にヤバいと売ったり買ったりをすることを短期的とすると、落ち着いて変わらずこつこつと投資していくのが長期的運用です。
そうすることで回復のチャンスをうかがえるということですが、期間が長いと不景気ショックを経験する回数も増えるのでは、とわたしなんぞは考えてしまうワケです。
また、「買い付けの時間を分散することで儲かる確率が増えますよ」という保険屋の売り口上があるそうですが、これは大きな間違いです。
ドルコスト平均法というこの手法は、定期的に一定の金額で購入し、時間を分散して運用していく方法で、価格が高いときには少ない数量、価格が安いときには多い数量を購入することによって、平均購入価格を抑える効果があるとされているものです。
ドルコスト平均法を用いたからといって、「儲かる」というのは騙しに近い気がしますね。
まとめ
保険にはその時代を反映した商品というものがあり、変額保険もそのひとつです。
投資や資産運用が以前より身近になった昨今で、変額保険が注目されるのも分かります。
だからといって、保険屋の言われるがまま加入してしまうことは危険だと思います。
投資の世界だけではないですが、「絶対儲かる」ということは存在しません。
また、投資にはリスクが必ずあります。
そういったデメリット面を理解せず、資産運用に手を出すのは尚早だとも思います。
当初、わたしも変額保険に夢があると思っていましたが、色々調べた結果、通常の投資信託でいいかなと思い始めています。
これもわたしの自己責任での判断ですので、変額保険が気になった方は、ぜひ一度調べてみてくださいね!