魚が身体にいい食べ物だと聞いた次の日に、「身体にいい食べ物、肉が最強説」なんてことを目にした経験はありませんか。
または、昨日まで身体にいいと言われいていたものが、今日になれば身体に悪い!と言われたことはありませんか?
なぜ、こういうことが起こるのでしょうか。
この話は、家計管理にも通ずるなぁと思ったので、一緒に考えてみることにしました。
エビデンス(根拠)にはレベルがある
「魚は身体にいい食べ物だ」という情報があったとしましょう。
こういった情報に触れたとき、一番大事なことは、情報を鵜呑みにしないことです。
まず、何を「根拠」にその情報は発信されているかを知ることから始めましょう。
結果(情報)を導き出すには、根拠が必要です。
根拠という言葉は「エビデンス」と言われます。エビデンスがあれば、その情報は信じるに値すると思っていいのでしょうか。
答えはNOです。
エビデンス(根拠)は、「エビデンスレベル」という、いわば信用度合いによってレベル分けがされているのです。
レベル分けは、大きく6段階あります。
その最下層にあるのが「専門家の意見」です。
医者の意見、栄養士の意見、研究者の意見等と言われると、その情報は信用性が高いように思えます。
しかし、その人の経験則や実感なだけである専門家の意見は、実は根拠として取り扱うには、その能力が非常に弱いとされています。
よくテレビで聞きませんか?
「医学的には」「研究結果で」「長年の経験から」。
そう、これらは根拠として非常に説得力の弱い、もしくは根拠にすらならないものなのです。
「絶対貯まる!」も根拠を疑え
それでは、このエビデンスレベルを頭に起きながら、家計について考えてみましょう。
わたしが家計を整えようと、真っ先に始めたこと。
それは家計や経済などありとあらゆるお金に関する書籍やネットでの情報を、片っ端から読み漁ることでした。
最初の頃は「月収18万円でも絶対貯まる!」とか、「家計簿をつけない家庭は貧困家庭予備軍!」だとか、わりと衝撃的なものを読んでいました。
その度に、将来が恐ろしくなったり、「こんなに頑張らないといけないの?」なんてことを思っては、不安しか感じなかったり。
そこから頑張って食費を削ったり、家計簿を丁寧に付けてみたりしてみました。
結果が出れば万々歳なのですが、すぐに結果が出なかったり、続かなかったりすることが多々ありました。
そうなると、すべてがめんどくさくなり、自己否定が始まり、投げやりになってしまいます。
でも、よくよく考えてみると、本を書いている人、ネットで情報を公開している人、雑誌に取り上げられているデキる主婦・・・みんな「それぞれの意見」でしかないのです。
何百人の家計簿を見てきたからといって、じゃあその家計管理法がすべての人に通用するかといえば、しないのです。
はっきり言って、「根拠なし」の情報なんですから。
先に挙げたような本だって、読んでみると結局、家賃が3万円とか、家計簿をつけていない家庭のモデルケースが「こんなの家計簿を付けてても貯まらないでしょ」という悲惨なものだったりとか。
でも、タイトル通りを鵜呑みにしがりですし、言うとおりにすれば「わたしでもできるんだ」と思ってしまうのですよね。
自分にはできないと落ち込んでいる人には言ってあげたい。
これをやったら貯まったよ。タダでもらえたよ。得したよ。だから、みんなも絶対できるよ!なんていう「絶対」には、まるで根拠がないんだと思いましょう。
落ち込まなくて大丈夫です。
家計管理は「トライ・アンド・エラー」の繰り返し
袋分け、家計簿、家計簿アプリ、家計黄金比の計算、レシート仕分け、つくりおき・・・家計を整え始めもうすぐ2年。
この間に、巷で溢れる様々な家計管理方法に手を出してきました。
試しては挫折しました。
これができなきゃ、家計を守ることなんてできないじゃないか。
他の人たちはできているのに、わたしはこんなこともできないのかと、自分はなんて怠け者で世間知らずなんだと攻め続けた日々を送りました。
それでも家計を預かっている以上、「もうやーめた」と言うわけにはいかなかったので、ダメ主婦だと自責しながら、エラーを繰り返しながら、心を痛めながらトライし続けました。
そうすると、驚くことに、自分に合っている家計管理が徐々に見えてきたのです。
あの日々はムダじゃなかったんだな、と今になると思えます(が、あの時は考えすぎてハゲるのではないかと思っていました)。
エビデンスレベルの最上位は「メタアナリシス」
急にどうした、と思わないでください。
話を戻して、エビデンスの中で信用性が一番高く、妄信的に信じてもいいだろうぐらいの、根拠として揺るぎない最上位レベルを「メタアナリシス」と呼びます。
メタアナリシスは、信頼できるエビデンスレベルが高いものを統計学的に集めた情報で成り立っています。
根拠がはっきりしているだろうと言われているものの集合体。・・・強そう。
この「メタアナリシス」というものを知り、わたしが目指すべき家計管理もこれではないのかと、はたと気付いたのです。
試してみては失敗の繰り返しでしたが、その中でも「これはいける」と思ったものも見つかりました。
「わたしにはこうすればぴったりだ」と、少しアレンジを加えたものもありました。
そして、ひとつの最良の方法を導き出すことができたので、今では毎月安定した貯金額を叩き出すことができています。
ひとつひとつ根拠を重ねて、自分に合ったやりくり方法を見つけることが、家計管理にとって最善策だと気付きました。
根拠に根拠を重ねていった結果、わたしの家計の「メタアナリシス」が出来上がったと思います。
どんどん試してどんどんやめていけばいい
ファイナンシャルプランナーや投資家、お金に詳しい人はたくさんいます。
でも、自分のことを一番知っているのは自分です。自分が一番自分の家の家計に詳しいのです。
収入も支出も、家族構成も、職業も、みんな全然違います。
巷に溢れる節約術や家計管理法は、どんどん試すべきだと思います。
だけど、そこで例えば道具を揃えようと散財をすると本末転倒になり、しっくりこないけれど無理矢理続けてみると挫折してしまいます。
挫折の度に自分を責めてしまうと思いますが、家計管理については世界中を探しても、これだ!というメタアナリシスは出来上がっていないのです。
「だれでも絶対」なんてことは、現段階ではありえないのです。
自分の家の家計においては、自分が一番の専門家になればいいのです。
そして日々研究・実験を繰り返して、自分の中で「これで安心だ!」と思える方法を見つけられれば、毎日を穏やかに過ごせるようになりますよ。
家計管理は、どんどんトライしてどんどん失敗をしていきましょう!
そうすれば道は開けますよ。がんばりましょう。