【配偶者控除って?】
よく聞く「配偶者控除」ですが、この制度はそもそもどういうものでしょう。
これは、世帯主に配偶者がいる場合に、その世帯主の所得から一定の金額を控除することができる制度のことです。
配偶者(養う家族)がいる世帯の生活負担を、軽減させようということが狙いです。
ただし、全配偶者が対象ではありませんので、結婚をしていても、配偶者控除を受けられないパターンがあります。
きちんと生計を共にしていなかったり、内縁関係や事実婚の場合は認められませんし、対象の配偶者が自営業などを行っていても認められません。
また、対象の配偶者が、パートや勤めに出ている場合は、認められる所得の上限を超えている場合は、配偶者控除の対象から外れてしまいます。
【配偶者控除を受けられる条件って?】
配偶者控除が適用されるために必要な条件は4つです。
1.法的に配偶者であること
婚姻届を提出し、法的に婚姻関係が認められていることが大前提です。内縁関係の夫や妻、婚姻届は出していないが、事実上婚姻しているに等しいという場合でもダメです。
2.生計を同一していること
納税者とその配偶者が、生計を共にしていることが必要です。例え法的に婚姻関係を結んでいても、生計をそれぞれに立てているとすれば、配偶者控除の対象とはなりません。また、生計を一緒にしているのならば、同居・別居の形は別段に問われません。
3.青色or白色申告の事業専従者ではないこと
確定申告を行っている事業専従者である配偶者の場合は、控除しなくてもいいでしょってことですね。あくまでも、養う人がいる納税者の生活費負担の軽減を目的にした控除ですので。
4.配偶者の年間所得合計が38万円以下であること
配偶者の年間所得があっても、合計38万円以下であれば、控除の対象となります。また、配偶者がパートやアルバイトで収入を得ている場合も、年間給与収入が合計103万円以下であれば、控除の対象となります。
【よく聞く「103万円の壁」って?】
上記全ての項目に当てはまる場合は、配偶者控除を受けられます。
配偶者控除の控除額は、38万円です。上記項目のうち、特に気をつけなければいけないのは4番で、年収103万円を超えてしまえば、配偶者控除を受けられないことになります。
配偶者控除の38万円が夫(もしくは妻)の所得から引かれると、その分所得は減る計算となるので、所得税を抑えることができるというワケです。
配偶者控除を受けたいと考える人たちにとっては、103万円というのが一つの大きな壁として立ちはだかるのは、こういった理由からです。
【なにが違うの?配偶者「特別」控除】
配偶者控除は控除額が38万円と決まっています。
それでは、配偶者の年収が103万円を超えてしまうと、控除が受けられないのでしょうか。
年収が103万円を超えると、配偶者控除は受けられないのですが、配偶者「特別」控除というものは受けられます。
配偶者控除と配偶者「特別」控除は、名称がとても似ているので混乱します。
年収が103万円を超えなければ配偶者控除、103万円を超えてしまっても受けられるのが、配偶者特別控除です。
配偶者特別控除は、控除額が一定ではありません。
最大38万円の控除が受けられますが、配偶者の年収額によって、控除額は下がっていきます。
配偶者特別控除を受けられる配偶者の年収の上限は141万円未満です。
141万円を1円でも超える年収があった場合は、配偶者特別控除も受けられませんので、ご注意ください。
結婚をしている人でパート勤めをしている人には「年収103万円の壁」と「年収141万円の壁」という2つの壁があることを、念頭に置いておく必要があります。
【もっと働きたい!もっと稼ぎたい!】
一億総活躍社会を目指すとされている日本において、配偶者控除のことを考え、働く量を抑えていくということは、まったくもって時代に逆行しているように思えます。
また、働いている人と働いていない人の格差を是正するために配偶者控除は存在しますが、働いているのに、その分高い税金を払わなくてはいけないのは、本末転倒な気もします。
長年、配偶者控除の改正について議論がされてきましたが、2017年ついに改正されることとなりました。
【2018年にどう変わる?】
2017年に税制が改正され、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しがされました。
2018年から、「103万円の壁」が「150万円の壁」へと変わることが大きな変化です。
年収で150万円を超えなければ、配偶者控除(控除額38万円)が受けられることになりました。
また、配偶者特別控除についても、年収が150万円を超えても、201万円を超えなければ受けられるようになりました。
控除額は最大で36万円で、年収が上がれば上がるほど、控除額は低くなります。
この配偶者控除の変更は、2018年1月から適用されます。
2018年からはバリバリ働こう!と、パートやアルバイトの勤めに対して、意欲的になれるかもしれませんね。